加齢黄斑変性症
とは

網膜の中心部には、物を見るときに重要な働きを持つ黄斑があります。加齢黄斑変性症とは、加齢などが原因でこの黄斑部に異常な新生血管ができて出血などをおこし、網膜が障害される病気です。自覚症状としては、視野の真ん中が見えなくなったり、物がゆがんで見えたりします。
加齢にともなって起きる病気ですので高齢者に多く、特に60歳以上の方に多くみられます。
加齢黄斑変性症には、眼底の出血が原因の滲出型と、網膜の萎縮が原因の萎縮型がありますが、急速に進行し失明を起こす滲出型加齢黄斑変性症は早急な検査と治療が必要です。
加齢黄斑変性症は欧米での失明原因の1位、日本では4位になっており、これまで満足できる治療法がありませんでしたが、2004年に有効な治療法としてPDT療法が、2010年には抗VEGF剤硝子体内注射療法が国の認可を受けました。
当院ではこの最新の療法を、認可と同時に開始しています。

歪視の例を図に表示します。
歪視の例
歪視の検査!ゆがんでみえますか?
歪視の検査

上図のアムスラーグリッドと呼ばれるマス目を、老眼の方は眼鏡をかけた状態で、約30センチ離れた距離から片目で見てください。線がゆがんで見えたり、見えないマス目がある場合は、すぐに受診をしてください。

加齢黄班変性症の治療法

光線力学的療法(PDT療法)と抗VEGF剤硝子体内注射療法があり、2010年までは光線力学的療法が主流でした。
これは特定の波長のレーザーにのみ反応する薬剤を注射した後、病変部にレーザーを照射し、異常な新生血管を抑制する療法です。
しかし2010年以来、抗VEGF剤による治療が急激に増えました。これは薬物によって新生血管を閉塞させる治療法です。

加齢黄班変性症治療の流れ

外来受診していただき、各種検査を行います。中心性網膜症など、症状が似ている病気と鑑別し、どの治療法が有効か判定を行います。現在第一選択は抗VEGF剤の注射ですが、光線力学的療法(PDT)を併用して治療することもあります。

光線力学的療法(PDT)の注意点

PDT療法を行う場合は、初回に2日間の入院が推奨されます。レーザー光の吸収を改善するためにビスダイン溶液の点滴の後、約83秒間のレーザー照射を行います。
投与された薬剤は、眼だけでなく全身に回り、光に反応し体内から排出されるまで約1週間かかります。
特に最初の48時間は強い光を浴びると、ひどい日焼けの症状が出ますので、直射日光・白熱電球・ハロゲンランプなどの強い光に当たらないようにしてください。
太陽の出ている間は外出せず、室内には直射日光が入らないように注意が必要です。

治療費用について

健康保険高額医療制度の適用があります。詳細は当院受付もしくはスタッフにお尋ねください。